「お通し」の文化
2023年11月03日
海外から日本への観光客トラブルの1つに、料理店や居酒屋等で提供される「お通し(突き出し)」があります。法律上は、事前告知・説明(看板表記・口頭・メニュー表示でも良い)がありお客さまから料理の注文を受けた時点で、お店側は料理を提供する契約をお客様の間で合意した口頭契約として交わし履行します。もし、お通しが不要ならば注文前に断る、断れない店では食事をせずにお店を出れば良いだけのことです。海外でのチップもサービスに対する満足度への感謝の気持ちですが、スタッフが対応しないセルフ方式でもチップを要求されることについて、アメリカの人々の間でも疑問視されることが多くなり、最近は店側がサービスチャージを設けてチップなしとする店も増えているようです。
前置きはさておき、諸説ある中では「お通し」は関東の呼び名でお客様さまの注文を通しましたという説が有力です。また「先付け」は関西の呼び名で一番最初(向付の前)に出されるもので、主に料亭等のコース料理に組み込まれている場合と、居酒屋では席代という概念がないので、お通しという名のチャージ料とも言われています。また、日本にはチップと言う概念がないので、楽しい場所を提供して頂く代わりにお通しを有料提供することで経営的な面(食材ロス、客単価など)をカバーすることからも一般に拡がったと考えるのが理に適っていそうです。
編集人は、普段からお店との信頼関係(簡単に言えば余り長居せず、客単価が平均の倍くらい)がある場合には、その日のお通しの内容を説明してもらい好きな料理以外はお断りすることもあります。また、高級店やレストランの席料としてサービス(奉仕)料が10~20%かかることを考えれば、お通し代は概ね500円以内ですから席料(チャージ料)として考えれば、出される料理次第ですが妥当な金額に思えます。ただし、初めて行く店では「お通し」はそのお店の考え方や料理のレベルを測ることができるため、断ったことがないことを付記しておきます。