オフィス鴻

ふるさと納税と行政

2025年01月28日

政府が地方創生施策として導入した「ふるさと納税制度」は首長が返礼品による獲得競争を行った結果、様々な課題が浮き彫りになりました。1つ目は泉佐野市がAmazonギフト券という換金性のある高い返礼品で多額の寄付を集めたことが、総務省から「制度の本来の趣旨に反する」という観点から4自治体に対して除外決定(2020年の最高裁判決で除外決定は違法として制度復活が確定)したことです。2つ目は他の自治体から返礼品を調達している例があったこと、3つ目が返礼品の調達金額が50%を超えている自治体が多くあった事でしょう。その後、総務省が審査基準の見直しや返礼品調達率の上限を下げる等を行い、現在に至っています。

2023年度には、ふるさと納税額が1兆円を超える規模になり、1つの産業分野として成立するほどの税収がサイト運営事業者の手に渡りビジネス化しています。今でも盛んにTVコマーシャルが流されて多額のサイト運営収入が特定の事業者に税金の一部が入ることに編集人は違和感を覚えます。細かいことを言えば、住民税が流出しても受入寄付額<流出寄付額の自治体へは地方交付税による補てんが行われる(一部、不交付自治体あり)ため、一部事業者が仲介ビジネスを寡占する構造と納税者に対する実質減税(返礼品)の側面が強くなってきました。そもそも論で言えば都市部と地方の格差は地方交付税で賄われていたことを考えれば、地域振興(特産品等)以外の返礼品は行政職員の業務負担を増やすことになり、先述のようにサイト運営会社に依頼せざるを得なかった面も否めません。

本来は、「ふるさとを応援したい」「自然災害等で多額の財政支出が見込まれる自治体に寄付したい」などの真摯な思いで納税をするならば問題ありませんが、国が導入した制度ですから所得税基準で対応するのが本来のあり方のように思います。一方、所得が伸び悩む世帯にとっては子育て等に必要な食品等が返礼品として手に入るため、この物価高を乗り切る知恵なのかもしれません。