オフィス鴻

ソフトパワー国家

2025年08月29日

公益財団法人日本国際フォーラムの「日本のソフトパワー戦略概論」発表資料からの引用によれば、アメリカのハーバード大教授で国際政治学者ジョゼフ・ナイが冷戦終結のころ、「ソフトパワー(soft power)」と称して、自国の政策を合理的計算や強制力ではなく魅力的な文化などを通して他国が自発的に支持してくれる外交手段のあり方を提唱しました。そして文化外交があらためて注目を集めるようになったとあります。またハードパワーや軍事的抑止力が世界を動かしていた20世紀の価値観の変化から、 ソフトパワーは国際環境の中で国家のブランド力や信頼を高めるかを示す枠組みだとされています。

まず文化外交についてですが、日本文化紹介・交流が大々的に行われることは日本の広報文化活動として非常に重要な役割を担っています。しかし政治・経済・軍隊に比べれば文化交流はあまり重きを置かれていないのが現状でしょう。そのためソフトパワー(Soft Power)とは国家の魅力や価値観などを通じて他国に影響を与えることで、ナイ氏によって「欲しい結果を得るために非強制的に他人に自ら選ばせる力」と定義されています。 つまり力によらない尊敬戦略が長期的な支持を得ることで、観光・教育・国際会議等を通じて信頼を醸成することで静かに発言力・影響力を与えてくれるとされています。

なおイギリスのコンサル企業ポートランド社の2020年「Soft Power 30」によれば、1位からアメリカ、イギリス、ドイツに次いで日本が4位にランキングされています。2019年に日本が8位であったこと、同様調査は複数あることを考えても日本のソフトパワーは世界的に認められていると考えられます。少し視点を変えてみると訪日客は2,000万人を超え、リピート率が計算方法によって異なりますが60%とも言われています。また人手不足問題もこの考え方が主流になれば離職率も減少するなど、これまで海外の生産性・効率性重視の施策から自国の良さを改めて認識する機会であり次世代の日本の姿になると感じています。