人間国宝と生活文化
2026年02月28日
文化庁が重要無形文化財制度の見直しに着手したことで、料理人・杜氏など日本の食文化に関わっている方々を人間国宝として認定できるよう文化審議会が答申を行いました。人間国宝とは、国が文化財保護法に基づいて認定した重要無形文化財保持者の通称であり、過去には歌舞伎・狂言・舞踊・工芸分野などから認定されていたものです。昨今の日本食文化に対する国際的な認知度や優れた技術等が認められたことを受け、生活分野に属する料理・酒造・書道などにも対象が拡げられることは、今後新たな文化等の担い手を目指す方々や日本文化そのものにとって重要な意味を成すものと考えています。
しかし数年前にある歌舞伎役者が「自分は人間国宝になるべき人材である」といった趣旨の発言が世間から猛反発を浴びたこともあり、単に重要無形文化財を継承しているだけではなく人間性そのものにも光が当たるべき制度だと思われます。また指定基準には➀芸術上特に価値が高い、②生活文化に関係する歴史上特に重要な位置を占める、➂芸術上の価値が高いことなどに加えて、地方的・流派的特色が顕著と言った一般人では理解が難しい内容が含まれています。特に今回特徴的な事柄として無形文化財に加賀料理(治部煮)などが検討されていることを鑑みれば、その範囲は大きく広がることでしょう。
また飲食業界に関わりのある編集人の個人的見解では、日本料理と言う文化的財産もさることながら接遇(おもてなし)や地方独自の食文化を大切に継承していくと言う観点は素晴らしいものだと感じます。特に今回杜氏(とうじ)という酒蔵独自の伝統を重んじ醸造チームを統率する人材が対象として検討されることには、利き酒師の端くれとして喜びを感じざるを得ません。実際に酒蔵(造り酒屋)を訪問すると感じるのですが、杜氏は秋から春にかけて蔵元で酒造りを行っています。約半年間にわたって夜を徹した作業から醸し出される日本酒は、本当に芸術作品だと感じますね。



