企業文化と感動体験
2023年04月09日
組織設計・運営上の重要項目の1つに、幹部社員(部長クラス以上)の同質化リスクが挙げられます。一例では、自分に責任が降りかからないよう、あえて自分の意見を発信しないことなどです。異なる考え方や多様性に富む優秀な人材を登用しても、お互いの意思を正しく伝えることは大変難しいことです。編集人は事前に会議資料の主旨を伝え、自らが率先して取り組む意思表明を大切にしてきました。最も気を遣ったのは、数字・事実関係等による裏付けによる信憑性を併せて「先入観をもたず、理に適った方法で、全体のレベルアップにつなげる」ことでした。
リクルート創業者の江副浩正氏は、従業員が自ら課題解決するという起業家精神を社内に浸透させるため、「(従業員が)何をしたいのか」「先入観が能力以外のところに影響を与える余地の排除」に取り組み、優秀な従業員に夢を与え続ける、感動体験ができる企業風土作りを怠らなかったそうです。現在でもその精神の一部は引き継がれ、週休3日制、長時間労働の是正、退職者の再復職支援など、これまでの組織では活躍機会(あるいは見逃されている)が少なかった人材でも、環境(特に上司)が変われば活躍することも多く「アントレプレナーシップ(entrepreneurship)」を発揮できる企業文化として根付いているそうです。
また、「イントレプレナー(社内起業家、企業内起業家)」として社内で新たなアイデアや、新製品・新サービスを具現化する手法もあります。先述の同質化リスクを極力排除しながら進めるには、ビジョンへの共感や卓越した行動力などと、実体験が非常に大きな意味を持ちます。すでに社内ベンチャー制度などを導入している企業もありますが、企業の風土や文化が従業員の能力発揮を阻害するケースもあり、職場環境や制度の整備などについて、改めて考えてみることが大切だと感じています。