大学授業料の無償化
2024年05月08日
現政権が異次元の少子化対策として挙げた施策の中に、3人目以降の子供がいる世帯への大学授業料無償化があります。当初は単純に3人目であれば該当すると思っていましたが、少し調べてみると扶養対象の子供に対するもので、年子の大学生や大学院進学等などに限られ所得制限が外されても殆ど該当者がいない施策(案)のようです。また、国立社会保障人口問題研究所の出生動向基本調査では、1世帯当たり2.25人以上の子供がいれば超高齢化社会でも社会保障制度が持続的維持ができるという試算もあり、現実的には異次元というより、まずは日本国内の足元から現状を良く見て具体策を講じるべきだと感じます。
文部科学省のHPによれば、高等学校等就学支援金制度(いわゆる高校授業料無償化)により、国公私立問わず高等学校等に通う所得等要件を満たす世帯(年収約910万円未満の世帯)の生徒に対して、 国が授業料に充当する支援金を支給するとあります。そのほかに各都道府県が独自に実施する高等学校等奨学金等の事業があり、昨年東京都知事が所得制限のない月額5千円の支給策を発表しました。文部科学省のHPでは「高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減を図り、もって教育の実質的な機会均等に寄与することを目的としています。」とありますが、恐らく平均世帯所得と企業税収が最も高い裕福な東京都民だけが恩恵を受けることになるのでしょう。
もちろん全ての国民に対して完全な公平性を担保した施策の立案・実行は難しいことは承知していますが、コロナ禍で噴出したような拙速な施策による失敗のほとぼりも冷めやまぬうちに次世代・次々世代へ負担を強いることが気になります。現在でも、学生服・修学旅行積立・部活動などの授業料以外の負担が困難な家庭は学生7人に1人と言われ、居場所がなく社会との繋がりも疎遠になるとも言います。さらに追い打ちをかけるように物価高騰で一般家庭でも生活困窮度合いが高まっているとも聞きますから、第50回衆議院選挙(2025年10月任期満了)で民意が反映されることを期待したいと思います。