オフィス鴻

新幹線の海外輸出

2025年12月30日

日本と中国がインドネシア高速鉄道事業を巡って、熾烈な受注合戦を繰り広げられたことは良く知られています。最終的に中国が受注したものの、当時のインドネシアのジョコ政権下では日本の調査資料がそのまま中国側へ提供されていたのではないかとの疑惑観測が流れたほとでした。日本企業にとって海外での鉄道事業受託は国土交通省資料「鉄道システムの海外展開の状況について」によれば、車両分野を含めた鉄道産業全体の市場規模については年間約30兆円市場が想定され、特に新幹線技術(開業以来重大人身事故なし)・技術移転(車両・運行及び保守サービス)が高評価されています。

しかしこのインドネシア(ジャカルタ)の高速鉄道事業は1日当たり30本程度のダイヤ編成となっており、140km程度の区間を結ぶ高速鉄道としては採算性が疑問視されていることも事実です。もちろん破格の価格・条件を提示した中国とインドネシア間での契約締結内容は知る由もありませんが、ニッケル・銅鉱石採掘などの事業権益が中国側に与えられたこと等を鑑みれば、何らかの国家間での交渉・合意があったことは容易に想像できます。しかしすでに景気後退期に入っている中国が高速鉄道への積極的継続支援を行うことは考えにくく、インドネシア側の重荷となる可能性もあります。

また日本の高速鉄道メーカー(日立など)は、日本国内需要で十分収益性を賄える事業環境だと言われています。海外総合メーカーのアルストム(フランス)・シーメンス(ドイツ)などが世界的ビジネスを展開している中で、今後は高速鉄道インフラ海外展開のために、JOIN(出資等)、JBIC(融資等)、JICA(円借款等)、NEXI(貿易保険等)といった政府関係機関を活用した日本企業の海外展開を強力支援する国家戦略も検討されることでしょう。もう1つは海外向け車両の標準仕様(STRASYA)化が進めば、日本独自のハード・ソフト両面での技術が活かされると感じています。