オフィス鴻

日本の七二侯(小雪)

2025年11月02日

北からだんだんと雪の便りが届き始める時期を小雪(しょうせつ)と言い、紅葉の時期を過ぎて木々の葉が落ち初雪の便りも聞かれるようになります。また日中に暖かな日差しとなる陽気を小春日和(アメリカではインディアン・サマーとも呼ばれます)として、草木の中には本当の春と勘違いして芽吹いたり花が咲いたりすることもあります。この時期には秋の収穫(豊作)を感謝する新嘗祭(にいなめさい)が日本各地の神社で執り行われ、天皇陛下が天元地祇に収穫物(新米・新酒など)を供え奉告する重要な宮中行事の1つでもあります。

また最近非常に人気になってきたクエ(九州ではアラ)というハタ科の高級魚が旬を迎える時期で、主に日本の西側で獲れる1メートル以上になるものが高値で取引されるようになります。調理法は鍋料理や刺身・寿司が定番ですが、白身には強い旨味が凝縮されていてアラ汁などはゼラチン質を含んでいますからぜひ味わっていただきたいと思います。また一般的な取引価格はその個体数の少なさと稀少性から1kgあたり10,000円程度とされており、輸入物・養殖物では天然物の3割程度で市場に出回っているようです。

もう1つの代表的な魚にボラがあります。ボラは河口や沿岸等で目にする魚で、メスの卵巣を塩漬けして乾燥させたものはカラスミという珍味として食されています。日本以外でも台湾では安価で販売されていますし、地中海沿岸ではボッタルガ(マグロの卵の場合あり)として食されています。日本や台湾では大根の薄切りで挟んだり、時にはリンゴやバターと一緒に食されることもあります。また地中海ではパスタやピッツァに削って振りかけるものが多く、特にサルディーニャ産(イタリア)が有名ですね。