オフィス鴻

日本の七二侯(秋編)

2025年08月21日

編集人が幼少期を過ごした昭和時代の東京ではまだ高層建築物も少なく、自宅周辺から遠く富士山を眺めたり綺麗な夕日を楽しむことができました。気温も現在のように11月頃まで夏日(1日の最高気温が25℃を超える日)になることはなく、日も短くなってもうじき冬が訪れる前の季節だったという印象があります。一方で秋と言えば紅葉が見ごろを迎え、街中の木々も黄色や紅色に染まっていました。また子供にはあまり得意でないキノコ類やサンマ(はらわたが付いたもの)が良く食卓に上がっていたものです。

また現在のオーバーツーリズムなどは観光地でも殆ど発生しておらず、近くの神社ではお神輿を担いだり山車を引っ張ったりといった祭礼があり、露店でベビーカステラやちょっとした食べ物を購入した記憶が微かに残っています。

さて政府広報オンラインに東京大学大学院教授であるロバート・キャンベル氏が感じる日本の秋についてのコメントが掲載されていました。その中から一部抜粋すると「和歌や俳句に詠まれる季節は春・秋が圧倒的に多く、特に秋は豊かな実りや音楽、衣替えなど、最も五感を使う感覚的な季節です。命が燃える炎のような夏のあとに次第に枯れ衰え、眠りにつく季節たる秋が来る。儚さを意識するから人恋しさも募ります。それで秋には手紙を書きたくなったり、旧知の友人に会って食事をしたり行楽や旅を堪能したりするのかもしれません。」とありました。徐々に長くなる夜(夜長)を楽しむのも日本人ならではと感じますね。