日本人の祖先
2025年11月05日
この話題には様々な説がありますが、最近のゲノム分析技術等によって日本人のルーツが遺伝子的に解明されるようになりました。日本列島は元々ユーラシア大陸から地殻変動によって大陸から分離されたことが知られていますが、日本人の先祖はその大陸系人種の末裔であると言う説、大陸から別れた後に海を渡ってきた人種と言う説、そして農耕民族・狩猟民族の混血と言う説などがあります。そのように考えると日本は島国であっても、人類学的には大陸西部付近やアジア・太平洋から渡来した人々が日本列島の特徴に順応して進化してきたともされ、現在の日本人の祖先とも言えそうです。
またこれらの説を裏付けるため、東京大学総合研究博物館海部教授の研究チームが丸木舟を使用して黒潮に逆らいながら航海していたとの仮説に基づいた実験をしています。行程は台湾東部から沖縄県与那国島に到達できるかというものをスーパーコンピューターでシミュレーションしたところ、現在とは海流や偏西風の状況が異なるものの無事に到達できたと言います。もちろん時代を経ているため正確な検証結果となっているのかはあくまで想定に過ぎないそうですが、約3万年前の旧石器時代に人類がこのようなチャレンジを繰り返したのだと想像すると如何に生存本能が行動を促したのかに感嘆します。
実際に台湾東部から与那国島までの直線距離は111kmだといいますし、天気の良い日には台湾から与那国島が望めることもあるそうです。その他にも台湾最高峰の玉山(標高3,952m)や中央山脈などの山々は、与那国島からもその上部が見えると言われています。また現代では定期国際便は運航されていませんが、フェリーを使ったりして那覇・石垣島経由で往来することも可能です。また丸木舟の時速は人間の歩行速度と同じ程度ですから渡来の事実の真偽は一旦横に置いておくとしても、今後は科学技術の進歩で新たな可能性が示唆されるのかも知れませんね。



