オフィス鴻

調律と和の文化

2025年08月25日

「調律」という言葉は主に音楽や楽器に関連するものとされており、楽器の音を「整える」作業のことを指します。しかし今回の調律は社会制度や国民に深く根差した日本文化という意味で使いたいと思います。世界には他国文化と比較したがる国家も存在しており、編集人は文化を比較する行為自体に意味を見出せていません。また社会全体に静けさによって無言でも人を思いやる文化は、海外の方からすると非常に特異に映るようです。言い換えれば「静かなる調和」が日本全体に拡がっているということで、現代日本人にも受け継がれている精神性が無形の財産となっているのだと考えています。

ある一例ですが日系企業内で行われている会議では暗黙の了解という行為が見られます。欧米諸国のようにディベートを好み、会議で自分の意見を言わなければ相手から同意したと見做されることもあるようです。しかしもう少し異なる視点で考えてみると、そもそも他国の自国の文化や習慣を比較すること自体が意味のない行為に思えてしまうことも事実でしょう。言い換えればその文化が醸成されてきた歴史的背景を知らずに、他国の文化に対して優越感を得る行為などは理性ではなく感情に左右されやすいことだと考えています。特に最近の国際情勢などを鑑みれば、冷静に事実に基づいて判断されることに価値が置かれています。

また観光・ビジネスで日本を訪れる方が最初に自国との違いを認識するのは、国際空港での日本人の振舞いだとされています。歩行者同士がお互いに少しずつ気を遣ってぶつからないようにする、電車の中では各々が静かに過ごすこと以外にも、トイレの清潔さ・便利さ、ゴミが落ちていないことなどが称賛されているそうです。編集人も何度も海外渡航しましたが、日本に帰国すると何とも表現のしようがない落ち着きがあるように感じます。時には東南アジアの喧噪も良いなと感じますが、不思議と畳の香りにつつまれると心身ともにリラックスできる文化は大切にしていきたいと思います。