オフィス鴻

論語(憲問)

2025年12月15日

孔子と高弟たちの言行・思想を集積して編纂した論語の憲問(けんもん)篇について思考すると、最も重要だと思われることは正攻法で立ち向かうことの重要性だと感じています。これまでも編集人なりの「徳」についての考え方を綴ってきましたが、心から発せられる言葉に勝るものはなく、いくら綺麗に修飾できたとしても親族・兄弟間での諍いなどは歴史上沢山起きています。言葉を変えれば世の中に多くある素晴らしい文言であったとしてもその方の人間性が色濃く表れたものであれば他人には容易に真似できないものですから、人としての成長が示されたものだと感じています。

例えば「子曰く、貧にして怨みなさは難く、富んで驕ることなきは易し。」について推敲してみると、衣食住がある程度満たされていれば落ち着いた生活を送ることができると考えられます。いかに一生懸命学問に励み立身出世を目指したとしても、やはり先立つもの(金銭等)がある程度なければ心の安定は得られずらいでしょう。しかし富を得ることが全ての課題を解決してくれるのかと言う観点で言えば、自身が奢ることなく正しい視点で行動できるのであれば他者から嫉妬ややっかみを受けることも少なく、また富を得たこと自体が自身の心身を蝕む可能性が減ると考えています。

もう1つ編集人が心掛けていることに、あまり直接的な物言いは避ける方が良いということがあります。感情が高ぶっている時などはどうしても強い表現になってしまう場合があるにしても、謙遜は人間としての大きな美徳であると考えています。しかし難しいのは全て自分の考え方を抑制してしまうと、本来伝えなければならないことが曖昧になってしまうと思われることです。そのため本当の強さを身に付けようとしても、どこかで孤独との戦いが生じる可能性が出てきます。そのように考えると天命を理解することの重要性を知っていれば、自身の生き方を決められるのだと感じています。