オフィス鴻

その後の運送業界

2024年10月08日

以前にこのコラム内で「運送2024年問題」はこの秋から本番を迎えるとコメントして、Kindle版書籍を7月に発刊いたしました。このブログを執筆しているのは2024年9月で、編集人の考えていた方向性は大きく間違っていなかったと思います。最近はITベンチャー企業が開発した生成AI技術等を駆使して様々な物流サービスプログラムを提供しており、大手総合物流企業でも物流管理システムが共同開発され始めてきました。例えば、三井物産系列ではQRコードの活用、KDDI・ソフトバンクなどの新東名高速での自動運転実証実験開始、HACOBU社による大手異業種間での物流情報共通化による基盤システム整備などが進められていますが、最も各事業者が頭を悩ませるのは繁閑差と各社の不利益をコントロールするためのロジック、そして中間流通構造にあると編集人は考えています。

これまでの編集人の経験では、長距離幹線輸送ではある程度までは生産地・消費地間のトラック使用台数を減少させることは可能ですが、最終的に運べない貨物(車両不足・貨物量のアンバランス・フルロット以外の中小ロット品等)は必ず発生する上に、採算割れの業務を承知の上で受託する運送事業者は後を絶たず、結果的に罰則のない荷主との契約(特にマッチングシステム)による生産性と収受運賃の改善は遅々として進んでいないのが現状です。その結果、陸運業界全体では人件費・燃料費・車両費の値上がり等を吸収しきれずに、ヤマト運輸は再度大口顧客向けの特別料金(値下げ)による積載効率向上に後戻りしている状況です。結果的にトラックGメンの権限を強化しても運送会社自らが根拠のない値下げ競争をしていることを繰り返しています。

日本ロジスティクス協会の調査では、各業務特性はあるものの月間80時間以内の時間外労働は収入減少に直結するだけでなく、運送会社(運行管理者)の改ざん行為等が未だに行われている実態があるとされ、本来の働き方改革とは程遠いのが現状だと考えています。