アイリスオーヤマとSCM
2024年11月07日
編集人がアイリスオーヤマ社にアポを入れたのは、店内導線を自主的に調べるために大規模小売店に陳列された同社の商品(当時はプラスチック成型品メーカー)を見た約30年前に遡ります。その後の同社の急成長を支えたのは、関西を主拠点とする大手白物家電製造企業を退職した研究者・技術者たちを関西地区に研究所を新設して自由な発想で商品開発を進めたことにあると言われています。大手企業では様々な制約(生産設備等)からニッチなマーケットへの対応が容易ではなく、収益性を上げるために付加価値競争と言う名目の下で消費者がほとんど利用しないような高価な機能が搭載された製品が世の中に出されました。
しかし、同社は余分な機能を外した分を価格で消費者に還元するもの作りを進め、独自の生産システム・物流網を構築してECマーケットにも対応できるような商品ラインナップ企業へと変化しているようです。特に本社が宮城県にあり、米の販売(アイリスフーズ社)に乗り出したときも低温精米とお米を脱酸素剤と窒素入りの高気密パックに小分けするなど新たな米飯分野への挑戦が東北地方の強みを活かした形で進めた例もあります。また、毎週(だったと記憶しています)新商品会議の様子がTV番組で紹介されていた中では、経営陣の前で多くの新商品試作品に対しするプレゼンが行われ、その場で開発・販売可否の決裁を得られるだけでなく、細かな点にまで改善指示を出すなど非常に従業員の健全な成長を促す仕組みになっていました。
なお、中国に偏っていた世界中の商品供給網の重要性が改めて見直されているようになり、コントロール可能な範囲へとSCM網が再整備されてきています。日本でも熊本に半導体の受託生産で世界最大手の台湾企業「TSMC社」が人手不足・農地転用・水源環境保全などの課題は残っていますが工場を完成させるなど、まだまだ新たな取り組みの余地は大いにあると感じます。