アメリカの運送業界事情
2023年08月27日
S&P社の調査では、アメリカの運転手の賃金は時給で$28(15%UP)に上昇、大手小売業のでは年収$11万での募集もあり、大きな話題になりました。もちろん、昨今の生活コスト上昇、コロナ後の人手不足、為替などの影響を加味する必要はありますが、最も大きな違いは雇用体系(O/O;オーナー・オペレーター、カンパニードライバー(被用者))と車種による生産性の違いだと考えています。よって、売上の多寡は短中距離中心の4t車中心の日本とは単純比較できない面が多いことをご承知おきください。
また、トラック運転手の多くがトレーラー(18輪車)長距離輸送業務に従事し、O/Oではガソリン代、保険料、メンテナンス費用の高騰によって、手取りが減り、運転手から別の業界へ転職する人も多いそうです。アメリカの国内物品輸送の7割はトラック輸送で、クラウドトラックス運行管理システム「スケジュールオプティマイザー」の導入でアルゴリズムでの最適貨物ルート設定ができるため、保険料込みの手数料(売り上げの15%相当)、リース・買い取り制度導入など、運転手不足に対応するブローカー企業も出てきました。また、貨物の在庫状況の確認、出発・到着、その移動状況のトラッキングをリアルタイムで行えるため、ユーザーはオンラインのダッシュボードで把握することがでます。
なお、各州ごとの最低賃金やTAX(税金)が異なること、運搬物、運送会社、ドライバー経験(主に走行距離で単価が変わる)によって払われる報酬は変わること、運送会社・シッパー(荷主)との直接契約方法のありますが、法律では一日の最高運転時間は11時間と決まっていて、一日平均400㎞の走行が大凡の基準です。そのほか、毎日400㎞以上の荷物があるとも限らず、ドロップ&フックや荷降ろし・積込みに時間がかかれば一日に走れる距離も少なくなり、減収要因にもなります