オフィス鴻

オーバーブッキング

2024年07月03日

日本航空(JAL)が輸送旅客数の増加傾向を見越して新機種(42機)の発注を決めたそうです。これまで、早割や時間帯・曜日、閑散期等に各種ダイナミックプライシングを適用してきましたが、最近の料金は4~5年前と比較すると2~5割程度上昇しているようです。もちろん、燃料高騰・海外からの訪日者増加・世界的な物価上昇などの要因も料金上昇の大きな割合を占めますが、新機種導入が早まる背景の1つに航空機リース方式が挙げられます。要約すれば、新機種には最新設備が装備されているので、経営的にも償却による整備費等の原価低下を上回る収益性が見込めるということだと思われます。

一方、ANAは比較的閑散時間帯に空席の一部を活用して貨物を運ぶビジネスを始めました。これまでの航空貨物は貨物室搭載枠が決まっていて各代理店等を通じて手配していましたが、空気を運ぶよりも短時間かつ比較的安価で輸送できるため、物流クライシスへの対応策の1つととも言えるでしょう。また、直接的な関連性はありませんが、反面で予約率の高い便では代替運行手段がある、統計的に空席発生率が高い便などの条件付で10%程度のオーバーブッキング(過剰予約受付)を行うこともあります。当然全予約客が乗機する場合には顧客単価は維持できますが、空席が出ればそれだけ売り上げ減少になることから、協力した乗客には相応の協力金等をお渡しするそうです。

また、インバウンド需要の増加から外資系企業(ホテルなど)の進出が盛んであり、所有と運営の分離経営方式が進んでいます。しかし、オーバーツーリズムだけが原因とは限りませんが短期収益を求めて各事業者(飲食店・土産屋等)の中にはブーム中に急激な値上げを行っているところもあり、コロナ後の旅行業界の一部で一種のバブル化が起きているように感じます。編集人の専門とする中間流通分野でも、最近はSCMとDXの組み合わせが一種のブームになっており、一時的な収益を求める(結果責任を負わない)コンサル企業も増殖中です。