ガソリン暫定税率
2025年04月19日
国民民主党を含む与党の中で、ガソリン税に関する方向性が今年いっぱい続くようです。事の発端は昨年実施された総選挙で与党が惨敗(少数与党)した結果、国民民主党の協力を得るために「ガソリン税」「年収の壁」問題が少し改善される可能性がでてきたことにあります。「年収の壁」問題は当コラムでも数回取り上げましたが、最終的には「社会保険料・税金を支払わない(支払えないとは異なります)」ことへの国民が感じる不公平感が根底にあると考えています。特に若手層の支持が増えた国民民主党ですが、若い方々があと30年後には世代間格差の対象となることは明白であり、政治への関心・若い首長の誕生などで今後どのような国の姿にしたいのか気になるところです。
さて、ガソリン税は1リットル当たり28.7円と、暫定税率によって25.1円を購入者が負担しています。現在、概ね180円前後ですが国の補助金(約8兆円)が中止されたことで、今後の国税・地方税は年間1~2兆円減少することになり、結果的に何らかの財源で穴埋めする必要があります。また、地球温暖化問題(脱炭素)もアメリカのトランプ氏が国内でシェールガスの産出施策を進めていますが、一方でヨーロッパでもEV自動車の販売不調から化石燃料に逆戻りする可能性が指摘されています。また、日本国内でも税収自体に消費税が掛かる二重課税問題など、複雑怪奇なガソリン関連税率を誰がどのように整理していくのか、つぎはぎだらけの税制整理は困難を伴うことになると考えています。
これまで問題視されてこなかった訳ではないのですが、結局は原油価格が暴落するか、円高が進まない限り日本国民が負担することは間違いのない事実です。最もこの税金が目的税でないことに遡れば、道路整備・脱炭素燃料開発等に利用されず2009年から他の一般財源に転用されている現状を鑑みれば、車両・ガソリンスタンドの減少を見ればこの特殊な財源を社会保障に使うことは難しくなってくると思われます。