オフィス鴻

トラックGメンの役割

2024年07月23日

昨年、国土交通省が自動車局内にトラックGメン部隊を創設したことは、読者の記憶に新しいことでしょう。役割としては「物流2024年問題」とされていますが、取引先(荷主)や元請業者による違反運行(過積載・超過労働)、長時間勤務是正・附帯作業サービスなどの監視が主だと言われています。しかし、身分は地方運輸局への出向扱いとなる一般職国家公務員であり、1992年に施行された物流二法の規制緩和による運送事業者の違反行為件数が多いことから、国民を自動車交通事故から安全に守るという重要な使命が与えられています。同様に厚生労働省(働き方改革)や公正取引委員会(下請法)とも連携しながら、違反事業者には処罰がくだされることになりますが、運送委受託契約(運送事業)では下請法は取引仲介業務であり、システム開発等と異なり役務の提供とは見做されておらず、今後は下請法改正により対象業種として追加されることが検討されています。

いわゆる大企業による下請けいじめ(買いたたき・料金据え置きなど)が続けば、中小企業の従業員にまで物価高騰・社会保険料上昇等による実質可処分所得減少補填ができず、現政権運営への大きな足かせとなりかねません。実際にコロナ禍前から3・4・5月の引っ越し料金が大幅に値上げされ引越難民が増加したり、マッチング事業者による成約運賃水準(トラックスポット料金;随意契約だが契約書面は必要)も短期的とはいえ大幅に上昇している現状からすると、いずれ本年度内には長期契約運賃も上昇してくると予想していますが、取引先(荷主)側が値上げを吸収できるとは限りません。さらに、運輸支局等が中古車販売BM社や民間の違法車検等への対応にもかかわっているため、まだまだ解決の入り口にたどり着いたに過ぎないと考えています。

消費者目線では、野菜等の生鮮食品の到着が1日遅れ、小売業の店頭で一部の商品棚(シェルフ)への商品補充の遅れが顕在化してきたり、物流費以外に起因する便乗値上げが行われることなど、日常生活への影響も少なからず出てくることでしょう。