オフィス鴻

ドライバーの待遇改善

2024年06月06日

日本ロジスティクスシステム協会(JILS)の調査で、企業の対売上高物流費比率が2年前に比べて0.7ポイントの低下傾向にあることが発表されました。企業が取り扱う製品・商品の価格によって同物流費率の適正水準は異なりますが、輸送網を確保できなくなるような緊急事態とならなければ、昨今は多少の値上げ要請に応じたとしても再び企業間競争や仕事を確保したい運送会社の思惑などが複雑に絡まり合ってドライバーの処遇改善となるべき原資(値上げ分)を確保することは難しいだろうと予測しています。また、商品値上げに物流費高騰を原因の1つとして上げる事業者も多いですが、従価性(料率制)契約ならば値上げ額は原材料費高騰分として説明すべきだと思います。

それでは、ドライバーの適正賃金とは一体いくらの水準が妥当なのでしょうか。一つの参考資料として厚生労働省の賃金構造基本統計調査があり、運輸・郵便業は47歳で311千円となっています。この中には事務職・アルバイトなども含まれているため正確な把握はできませんが、募集広告などを見ていると概ね年収450万円程度(月額30~40万円)かと推測され、全産業平均に比べて若干低い程度かと思われます。もし編集人が給与規程を作成するとしたら、基本給と時間外勤務50時間込で月額35万円、時給換算で1,500~1,600円をベースに個人別能力給(発揮能力に対する対価;業務難易度・無事故・新人教育・点呼補助・生産性など)を最大5万円程度加味したものにするでしょう。当然、支給額に見合った運賃収受のための原価計算を行って荷主と交渉することになります。

巷では、ドライバーがきつい作業と長い拘束時間の割に待遇が悪いと言われていますが、もし1日遅れで保存可能な商品(例えば、加工食品・日用雑貨など)が到着したと考えたらスーパーや飲食店は営業できないほど商品不足に悩まされるのでしょうか。編集人は、ここにも物流クライシスを回避する大きなヒントがあると考えていますが、読者の皆さんはどのような感想をもたれるのか興味は尽きないです。