パイロットの定年延長
2025年12月02日
国際航空運送協会(IATA)が国連国際民間航空機関(ICAO)に対して、国際線民間機パイロットの定年を65歳から67歳に延長する要請を行いました。その背景にはインバウンド需要の急増、パイロット養成機関不足などがある一方、67歳という年齢が安全性へ全く影響を及ぼさないのかは個人差が大きいものと考えています。実際に健康面等の問題から大手航空会社で乗務できなくなったパイロットが、他航空会社等で乗務した結果、航空機事故を起こしたり、乗務前飲酒を隠蔽するため他のパイロットにアルコールチェッカーを使ってもらい乗務した事例も報道されました。
大多数のパイロットが正しく規則を守っていても、一部の不届き者の行為で航空会社が国土交通省から是正(再発防止)を求められたこともありました。つまりこの定年延長の問題は、単なる有資格者不足への対応としてではなく、安全性を最も重要な基準として議論されるべきだと考えています。編集人の意見と近い内容をアメリカの主要パイロット組合が提起しているとされ、アメリカ旅客機パイロット協会の広報担当者は、特に安全性に関するデータが不足していることを指摘しています。比較的高給が保証されている現役パイロットからの意見であり、尊重されるべきでしょう。
業界は異なりますが編集人の専門分野である中間流通・物流業界でも人手不足は深刻です。少なくとも編集人が責任者を務めていた時期には高齢者(60歳超)が事故や重大なトラブルを発生させた場合には、原則として職務停止・原因追及・改善策実施を行ったうえで多くの場合は職務変更を行っていました。実際に事故惹起率が高かったのは入社3年未満の従業員と60歳前後の従業員であり、10年間のデータから同様の傾向であることが判明していました。旅客機の場合、万が一事故に巻き込まれれば多数の死傷者が出る可能性が非常に高くなりますので、経済性より安全を最優先するべきと感じます。



