オフィス鴻

佐川急便の待遇改善

2024年01月15日

佐川急便が個人向け(企業向けは、各営業所所管で取引内容により料金タリフが決められます)宅配便の料金値上げを、ドライバー確保のために行うと発表しました。一時期は、再配達が問題視され置き配や宅配ロッカー設置などが進みましたが、最も宅配事業や特積事業で手間のかかる作業は、集荷してきた荷物を一旦中継所におろし方面別に仕分ける作業を複数回行うため、今回新たにAI荷積ロボット開発と併行して新職種(トラックへの荷物の積込)を設ける計画のようです。取り組み自体は既に各運送事業者でも行っていますが、中継便なのか個配なのかは明記されていません。

また、Amazonの宅配は、Amazonが提供する最適ルート設定システムにより管理されていると聞きますが、先般委託先業者がこのシステム利用が会社の指揮命令下にあるとして労働者として労災認定されました。このルート設定自体はAI技術の応用で効率化に優れたものですが、利便性の観点ではドライバーの暗黙知の方が優位な場合もあります。特にドライバー目線に立って考えてみると、他人の積み込んだ宅配荷物(おそらく何らかのロジックで行われていると思います)は、様々な形態の荷物があり個々のドライバーのやり方と一致しないことから、荷卸し時に宝探し(荷物を探すこと)となる可能性も否定できません。また、新職種(積込)は、運送会社の中でも事故率が高く、生産性・効率が悪い正社員ドライバーの受け皿としての職種の位置づけですから、深夜・早朝で時給2,000円程度で募集をすれば、それなりの人員数確保は望めると考えていますが、離職率もかなり高い職種に思えます。

ヤマト運輸と日本郵便の協業においても、2023年1月でも約2万人以上が契約解除を通告されています。多くの人や事業者は日本郵便や他運送事業者の下請けとして仕事を続けると予測されます。これまで、このコラムで運送2024年問題について何度も取り上げましたが、佐川急便の動きも国の打ち出した対応策の1つに過ぎませんが、少し前進と受け止めることは出来そうです。