オフィス鴻

個人タクシーの開業

2024年12月29日

最近のドライバー不足が緩和されてきた感のある首都圏のタクシー業界ですが、依然地方の無人駅に行けば駅前に小さなタクシー会社があり、70歳は優に超えていると思われる乗務員さんが1日数本の列車を待っている光景を目にします。また、これまではご法度であった営業区域内運行も北海道ニセコ地区などでのタクシー不足に対応するため、各地から地元以外の事業者が一時的に営業応援できるよう、国土交通省が運送約款の一部を改正しました。その他にも2024年度からタクシー地理試験(第二種免許;80点以上で合格)が廃止され、外国人労働者や地方出身者へのハードルが大きく下げられています。しかし、トラック運送事業は規制が強化されるばかりで刻々とドライバー不足の状況が悪化しており、特に10~15輌程度の事業者は「仕事はあるのにドライバーがいないため廃業するしかない」状況が始まっています。

さて、タクシーの話題に戻りますが、個人タクシーはエリア毎に許認可台数が定められておりコロナ前までは一種の成功の証として見られていました。しかし、最近は全ての売上が自分の懐に入る収入増加、勤務シフトの自由さ、繁華街の酔客が夜中の長距離客から始発待ちへと変化するなど、思い描いたような生活設計が出来なくなっており、優良ドライバーは事故等のトラブルに対応してくれる大手事業者で働き続けるケースも増えているそうです。当然個人事業主であれば社会保険料は全額自己負担になりますし、厚生年金への加入もできないため、アプリ配車をベースとした安定収入とリスクの少ない働き方を選択する方が増えるのも当然の流れのような気がします。

以前ならば、個人タクシー協同組合(ちょうちん・かたつむり)へ加入していた方も、チケット客の激減で組合費削減のため脱退するケースも増えているようです。一方で訪日客目当ての白タク行為(自家用ナンバーでの有償運送)が空港や観光地で問題化していることを考えると、観光立国政策の弱点がコロナ禍後に諸々と出てしまった感がありますね。