地方在来線の存在意義
2024年07月30日
最近、多くの自然災害が続けて発生しており、公共交通機関でも地域経済等に重要な役割を担う地方在来線の橋梁破損や線路下の土砂流出などで長期間運行できないケースが見られるようになりました。1987年に行われた国鉄の民営化に際しても、北海道・中国・四国・九州地方などでは多くの赤字路線が廃線対象となり、その存続に地元自治体が第三セクター方式などで補助金を出して鉄道交通網を維持してますが、黒字転換の例は一部の観光列車等を除いて殆どないようです。事業は異なりますが郵政は事業も国鉄のように地域で分割せず、事業(郵便・かんぽ・ゆうちょ銀行)別の分社化を小泉内閣の下で行いました。郵便事業はその役割を守るため、慢性的な赤字体質でも他事業から補填する形で継続されてきましたが、これまで数回の値上げや新サービス提供を行って経営を続けています。
これまで地域再生事業が盛んに議論されてきた過程では、竹下内閣の全自治体への1億円配布政策から始まり、やっとポイント付与廃止で本来の趣旨に戻りつつある実質減税であったふるさと納税制度、紆余曲折を経て部分解禁されたライドシェアなどが挙げられます。しかし、鉄道の廃線が進めば少なくともその地域の鉄道インフラがなくなることで地元の衰退が進むことも十分考えられます。具体的には、人生100年時代を謳う政府にとって高齢者による悲惨な交通死亡事故が増加していることと、免許返納を勧めることは代替交通手段があることを前提とした政策でなければ矛盾があるように思えます。
編集人は、現在自家用車を保有・運転しておらず、旅行では地方在来線を利用することが増えました。日中は1~2時間に1本程度の運行であっても代替移動手段のない地域ではかけがえのない交通手段です。特に九州鹿児島の指宿に訪れた際には、昭和時代の製造と思われる車両に乗りましたが、最も驚いたのは無人駅が多く車掌が検札・精算業務を行うだけでなく比較的大きな駅でも駅員が1日3時間程度しかいなかったことですね。