外国人運転手採用
2025年10月08日
国内総合物流大手のSBSグループが、10年以内にトラック乗務員(運転手)の30%にすると発表しました。具体的には特定技能制度を活用した形でインドネシアを中心に自動車学校を設立し、全寮制で半年間にわたって研修を行うものだと言います。既に運送業界ではヤマト運輸や福山通運なども同様な施策を行っており、バス事業者である東急グループもベトナムでスマートシティ建設と同期化する形で数年前から試験的導入を開始しています。編集人も企業勤務時代に同様の経営会議プレゼンをしたことがありますが、経営層の反応は余り無かったことから時期尚早だったのかも知れません。
この施策を考える時に非常に重要だと感じたことは、単純に安価な労働力として見做している限りは事業継続性に大きな疑問が生じること、家族帯同を含めた生活習慣の理解や働きやすい環境を整備すること、日本人と同じ処遇を準備することに加えて適正運賃を収受することの3点でした。なぜこのような視点を大切にしていたのかと言えば、国内物流業界は消費減少に伴う物流減少傾向があと20年もすれば顕著になるであろうと予測していることにあります。つまり外国人の方が永続して働ける環境を整えていかなければ、テンポラリー(臨時)雇用の枠を出ないと考えるからです。
そのために非常に重要になるのは、日本で働く以外の選択肢も用意しておく必要性です。例えば日本で10年勤務した後には母国で管理者として勤務できるような勤務・人事体系を準備するといった施策です。そのためには現地で事業を興す必要がありますから、採用と同時にスタートしなければ到底間に合わないと思えるのです。そうなるとある程度の経営母体と規模感がなければ、中小運送事業者で外国人運転手を採用することは非常にハードルが高いと考えています。なんとなく物流業界でブーム化している現状だと思われますが、経営者の本気度と覚悟が問われる施策であることは肝に銘じるべきでしょう。