オフィス鴻

大学病院とDX(2)

2023年04月26日

経済産業省が2018年に発表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」では、データとデジタル技術を活用して、業務・組織・プロセス・企業文化・風土の変革を促し、顧客や社会のニーズやビジネス環境の変化に対応した競争上の優位性を確立することと定義されています。医療機関に於けるDXについては、院内物流にもDXを導入する意義と効果は大きな意味があると考えます。

厚生労働省の「掛かりつけ医」の推奨の一環として、大学病院等への「紹介状なし受診」には、特定療養費(7千円以上の自己負担と保険対象外負担金)がかかります。これは近隣のクリニック等から必要に応じて専門性の高い病院へ紹介することで、大規模病院へ過度に患者が集中しないための施策です。編集人は外来時に事前に病状等をメモして渡すなど、できる範囲で少しでも主治医の負担を減らすようにしています。また、医師は正しい処方薬服用を前提として診察や薬の処方をするため、飲み残した薬は廃棄され、医療費のムダや治療長期化を招きます。世界でも非常に高水準の医療提供と社会保険制度が充実している日本ですが、患者次第では適切な医療提供が難しくなることも危惧されます。

なお、医師法第19条では医師の応招義務(専門分野以外・時間外などは除く)が謳われ、医師は患者の治療要請に応える義務があります。急患や重症患者は別としても、現在の医療制度を維持するには、オンライン診療を含む適切な医療体制の再構築と提供に向けて、業界の垣根を超えたDX連携と患者の意識改革により総医療費の抑制が必要な時期に来ていると感じています。