大学病院とDX(3)
2023年04月28日
最後に大学病院へのDX導入について、物流と人事の観点から編集人なりに考えをまとめてみました。
既にカルテや看護記録の共用化・電子化、薬剤管理、診療受付、請求書発行・支払などのIT化は進んできていますので、各種検査時間の調整、過去の患者の診察記録(CT・MRI・X線・血液検査など)を基に症状等から考えうる疾病の表示、診察・診断の支援などがDXやAI化(既に始めている病院もあります)の対象になりそうです。
つぎに人事労務面では、医師と看護師に本来の専門的な役割以外のところで大きな負担が掛かっている様子が伺えます。コロナ禍により看護師に多くの離職者が出て、法定看護師数確保が難しく病床使用数の制限などを鑑みると、法律で夜勤登録(人数)が義務付けられている看護師の勤務シフト(レイバースケジューリング)の作成作業などがDXの対象となりそうです。また、入退院受付業務、外来予約変更業務、保険証(マイナンバーカードを含む)の照合作業などの事務系の作業もIT化の対象となりえますが、高齢者やSNS難民などへの対応策も並行して必要でしょう。
また、物流面では、様々な役割を担う医療関係者が、同じ施設内で同じ導線を頻繁に行き来していること、およびエレベーターでの搬送混雑が気になります。食事の配膳・下膳作業の一部、清掃作業の一部、薬・検体(血液・採尿など)の移送、買い物代行、入浴介助などはロボット化などDXの作業領域に入るのかと思います。
もちろん、病院ごとの風土や考え方の違いはありますので、DX導入により医療品質が向上することは患者にとって喜ばしいことであり、つぎの入院時には少し違う角度からも見てみたいと考えています。