宅配便事業の限界
2025年04月17日
Amazonn社が自社での配送網構築に乗り出して、これまでの既存協力業者も知恵を絞ってドライバー集めを行っています。大きく分類すると、① 車両の持ち込み方式(業務委託型)、➁ 車両を借りて配達する方式(雇用型)、③ リースバック方式(①と➁の複合型)などが挙げられます。因みにAmazonn Flexでは1時間で最大1,886円の報酬を得られるとの広告を出していますが、単純に配達料を消費者から収受できない場合は、1時間で10件運べる(かなりきつい条件です)として1個あたり188円程度に相当します。因みにAmazonn社の標準では委託先に対しては1日200個以上配達することが求められるため、単純計算では20時間労働と労働基準法違反になるため、配送効率の良いエリアなら可能ですが業務委託方式と言う罠に陥ってしまいます。
因みに宅急便のヤマト運輸では法人荷主である程度数量がまとまると、一般的な個人向け料金(LWH80サイズで900~1,200円で離島等は更に割増あり)の6割程度で運んでくれますが、値上げによる貨物量の減少(殆どが佐川急便に切り替えたといわれています)により日本郵政との協働もやめ、再び価格引き下げ競争に入った感があります。確かに希望した時間帯だけ働く選択肢もあるそうですが、車両代・走行距離(燃料代)・駐車料金・通行料等は自己負担ですから実際に手元に残る金額は1時間当たり1,000~1,200円程度でしょう。
これはあくまで編集人の予測ですが、あと10年後にはBtoCを除けばトラック台数の供給過剰が起きると考えています。その最大の理由は、改正物流二法が殆ど需給バランスにあった貨物運送事業経営を後押ししているとは考えずらいと言うことに尽きると思います。そして、高齢者でもまだまだ現役で仕事ができるドライバーは少なからずおりますから、問題は健康管理(審査基準の厳格性)と繁忙日への対応(週3日勤務、時間外労働無しなど)がもっと柔軟にできる制度設計に期待しています。