宅配幹線便共同輸送
2024年07月22日
本年5月、日本郵便とセイノーホールディングスが長距離拠点間の共同輸送開始に向けて業務提携すると発表しました。また、他社特別積合事業者(路線便)の貨物も一緒に運搬できるよう新システム構築および開放する方針も明らかにしています。ほぼ時期を同じくして、ヤマトホールディングスも共同輸送推進のための新会社設立(サステナブル・シェアード・トランスポート)を発表しています。さらに日本通運は各地の中小運送事業者と共同輸送を実現するための物流拠点整備に着手したと報道されました。各社ともに「運送2024年問題」で総労働時間規制の猶予期間が今年3月に終了したことを受け、ドライバー不足および環境対策(排出Co2削減)への対応が目的ですが、このスキームの中では東名阪エリアを超える運行(これまでの法律では、東京から岡山までは翌日配送が可能でした)、つまりリードタイムが1日延びる長距離運行(例えば、東京~九州間など)が対象となると考えられます。
これまで各社は集荷した小口貨物を自社のメイントラックターミナルに一旦集積してから、幹線便(大型車・牽引車)で運び、さらにその先のエリアへは地域密着型の特積事業者(中小が多い)へと「中継」と呼ばれる方法で貨物配送業務を委託するのが一般的です。そのため、貨物受付時間が18時前後に設定され、その後殆どの小口貨物は3時間程度かけてドライバーが手積し、当日22時を過ぎた頃から主要高速道路に各社の路線便が集中するため各所で渋滞・事故が発生することも多いのが実情です。
この新方式採用でも、パレタイズされていない異なる形状の貨物を混載するためには荷役作業機器の共通化やトラックバースの共同利用方法など様々な課題をクリアする必要があり、目論見通りに積載率を上げていくには、相応の設備投資と相互委託料金体系の統一化などを要すると考えられます。さらに、EC物流の急増によりトラックターミナル自体が相対的に狭小化傾向にありますから、ラストワンマイルへの影響(着時間指定など)も懸念されています。