建設業界と物流業界
2024年07月08日
同じ「2024年問題」でも、建設業界と物流業界では働き方改革関連法案が施行された今年4月以降の対応に差がでてきています。当然、業界が異なれば商慣習も違うので当たり前のことなのでしょうが、共に人材不足への対応労働時間規制、公共性と言う観点では共通項が多く、お互いに参考にすべき点も多いと考えています。また、建設業界では施工管理者(多くの場合ゼネコンが行うようです)によって人材(職人)・納期・コスト等がコントロールされ、収益性にも大きく影響してくると言われます。
物流業界と大きく違うのは建設業界では高度な専門知識を有する人材が必要なこと、天候・資材調達により工程変更等が頻繁に発生すること、一人親方(業務請負型の個人事業主)として働くことが認められていることの3点だと考えています。最近は施工管理者向けのソフトの開発・導入事例も多くなり、月間100時間を超える残業時間は減少傾向にあると言われていますが、施工主・職人(気質)・資材などの板挟みにあうことも多くあるでしょう。特に、安全に対する配慮が重要な現場では全く同じ仕様の工事は殆どなく、その責任が重く圧し掛かりますので、結果的に隠れ残業(私物のPC使用や、休工日に仕事をするなど)という形で毎回異なるオーダーメードに対処するため、仕事をこなしているのが多くの実態かも知れません。編集人の居宅近くでも新たな中規模マンション建設(約200戸)が始まりましたが、工期は当初予定より2年以上延び4年以上になる見込みだと言います。
物流業界でも倉庫作業系では様々な自動化されたマテハンの開発・導入により省人化が進む一方、運送作業系は自動運転技術が発達したとしても公共インフラである一般道の整備には多大な費用がかかるため、実用化までには非常に多くの課題をクリアする必要があります。また、盛んに高度物流人材育成の必要性が語られていますが、具体的な育成内容・方法(必要な能力等)に乏しく、報酬の面でも見劣りするため、まだまだ時間を要するものと思われます。