オフィス鴻

改正改善基準告知

2024年11月25日

一般貨物自動車運送業務に携わった経験のある方なら、最近貨物運送に関連する法改正が頻繁に行われていることはご承知だと思います。特に国土交通省がトラックGメン、公正取引委員会が下請Gメンを配置したことで、荷主企業側に優越的地位の乱用等と認められる行為があると罰則として社名公表されるようになりました。その中でも意外と正しく理解されていないのが表題の厚生労働省の改善基準告知(自動車運転者の労働時間の改善のための基準)だと言えます。その中でも大きく2点が運送業界の経営に大きな影響を与えています。1つ目は「4時間連続運転後の休憩時間確保」、2つ目は「休息時間の管理基準変更」です。その他にもあるのですが、ここでは割愛します。

1つ目の休憩時間とはドライバーが運転していない時間を指し、以前は荷卸し先等での待機時間等も含まれましたが現在は純粋にドライバーが30分以上休憩できる時間(作業や待機時間は含まれない)に変更されたことです。これにより、渋滞等で納品時間に間に合わないケースが起きるとドラーバーが荷主からクレームを受けるため、以前から納品指定時間の1時間以上前から順番待ちのために早出してきた業務開始時間が更に早くなる弊害が起きています。働き方改革によって従来よりも実車率(売上)が下がる結果となり、賃金上昇とは真逆の経営を行わざるを得ない上に、70%以上の荷主が適正(または運送会社が提示する)運賃値上げを容認しない、または値上げ幅を抑制していることが業界団体等の調査でも明らかになっています。

2つ目の休息時間とは1日の業務終了後から翌日の業務開始時間まで最低9時間以上のインターバルをドライバーに与えることになり、前日業務が何らかの事情(災害発生時等の適用除外規定あり)で遅くなっても拘束時間(月間284時間)における疲労の回復を図るために始業は9時間後からとなり、従来の配送業務が行えない事態が増加していることです。これがトラック不足に一層の拍車をかけているのです。