オフィス鴻

新たな貨物輸送方式

2024年07月29日

東海道新幹線で、昨年の東急新横浜線開業に伴い新横浜始発の臨時列車が運行されています。時期を同じくして東北・上越新幹線では大宮駅(埼玉県)始発の臨時列車の定期運行について地元自治体が国土交通省に要望していることが報道されました。以前のブログでも少し触れましたが、JR東日本では新幹線による貨物輸送実証実験(貨物専用車3両、グリーン車のない客車5両)を行いました。高級生鮮食材が収穫日に首都圏の消費地へ届けられるため、鉄道以外でも比較的乗客の少ない時間帯の地方便(ANA)で貨客混載(電子機器・部品等)を検討するなど、明らかにコロナ禍後に各社が知恵を絞っていることが判ります。

また、今後10年を目途に東京~大阪間で自動車高速道に貨物専用レーンを設置する計画が徐々に具体性を伴う形で、その方向性が明らかになってきました。国土交通省では地下に専用トンネルを設ける、地上の空きスペースを整備する案を軸に検討していると言いますが、総額で4~数十兆円という多額の費用が掛かる(1kmあたり数~数十億円)試算がなされているようですが、最終的には税金が投入されることになります。トラック輸送力の代替機能としては特に長距離便にメリットがあると考えられますが、検討対象は東京~大阪間だけであり現在の「運送2024年問題」で主題となるドライバー不足抜本的対策とは言えない面があることも事実です。一方で、この技術革新が海外へと展開できると仮定すれば、環境問題等を含めて日本を含めた世界経済全体に寄与する可能性を含んでいます。

試算では1日3万台程度の車両が削減できる可能性があるそうですが、交通行政の要の1つであった自動車専用道路の無料化は通行料金で年間1千億円超の減収、新たなインフラ整備・維持費の回収には一体何年かかるのかなど、昨今の物価上昇を鑑みると永遠に無料化は実現できないと思っています。ただし、もしリニア新幹線が大阪まで延伸できるようになれば、東海道新幹線の一部で貨物専用列車が誕生することもあり得そうです。