オフィス鴻

旅客機燃料不足の影響

2024年07月25日

北海道のニセコと言えば、世界トップクラスのパウダースノーを求めて南半球(日本は冬、現地は当然夏です)のオーストラリアからたくさんの観光客(スキー・スノーボードなど)が来ることで一躍有名になりました。北海道では日本ハムファイターズの新本拠地であるエスコンフィールドがある北広島市とニセコ地区の路線価が大きく上昇したことでも話題になりましたね。また、カツカレーが1食3,000円でも売れるほど、観光客の増加によって求人数・賃金(時給2千円程度)共に急激な上昇を見せています。その一方で、従来の行政・福祉サービス(訪問介護等)に従事していた方々が、観光産業に労働力移転した結果介護サービス難民が増えると言った笑えないような現実にも直面していると言います。

その結果、影響を受けているのが航空業界だと言います。旅客機に使用されるジェット燃料はコロナ禍後に回復基調にありますが、元々特殊な製品で急な増産に対応する設備がありません。また、日本の石油(ガソリン)元売りは、EV車や高燃費車、円安による価格上昇などで合従連衡・淘汰・精製工場の統廃合を進めていたこと、運送2024年問題で石油製品を運ぶタンクローリー車(危険物乙4免許が必要)のドライバー不足と労働時間規制が重なり、日本の地方空港では国内航空会社への燃料供給ですら綱渡りの状態が続いていると言われます。インバウンド需要を支える訪日客に対して空港関連業務の職員数も減少傾向にあり、オーバーフロー状態と言えるのかの知れません。

国土交通省や経済産業省でも協議会を立ち上げましたが、即効性はなく中長期的な政策議論に留まっているようです。急増するインバウンド需要を取り込めるだけのインフラ整備・人員確保等を後回しにしてきた結果とも言えるでしょう。ある報道番組で「4~5年前の日本の良さが感じられなくなった」という訪日客のコメントが取り上げられていましたが、これから本当に観光立国を目指すならば、日本全体がもう一度原点に立ち返る必要がありそうです。