オフィス鴻

日本空港ビルディング

2025年09月14日

日本を代表する羽田空港ターミナルビルを運営する羽田空港ビルディング株式会社は1953年に設立され、現在の主要株主には日本航空、ANA、みずほ銀行、三菱UFJ銀行、大成建設などです。その企業が子会社を通じて元自民党幹事長の長男が運営するコンサル会社アネストに利益供与を行っていたことが発覚しました。このこと自体が政治家による利益誘導であり、東京国税局によって2016年に業務実態が無く再委託先を通じて複数の事業で数億円の利益供与があったと判明しているのです。ここで問題の根が深いと思われるのは元自民党幹事長の長男が調査に応じておらず、国税調査以降も不正を続けていたことに尽きます。

同運営会社側は「長年の付き合いで断れなかった」としていますが、問題は更に続き辞任した社長もこのスキームを始めた前会長(辞任)に忖度して更に広範囲に及ぶ不正行為を続けてきたことも判明しています。普通の企業ならば逮捕者がでてもおかしくない事件で、前社長・前会長ともに日本空港ビルデング株式会社に入社してからトップに上り詰めたと言われています。また一般社団法人全国空港事業者協会の会長も務めており、これ以外にも捜査が行われているものと推察されています。その組織構図もフジテレビと酷似しており、不正行為と知りながらも同社社員が2006年から声を挙げられなかった理由の1つでしょう。

さらにこの利益供与に関する両社のやりとりがフォレンジック調査であぶり出されました。このフォレンジック調査とは、事件の証拠収集・解析を行うことで事実関係を明らかにする犯罪捜査の手法の一つで、民間企業では内部不正やデータ改ざん・情報漏洩調査に活用されています。現時点では東京国税局による経費否認だけで、日本空港ビルディング社に与えられた損害については事件として立件されていません。なお国土交通省が厳重注意とする行政処分を下しましたが、その理由が「空港利用者の信頼を損なう」とされていたことに政治の闇を感じてしまうのは編集人だけでしょうか。