オフィス鴻

日本郵政の許可取消

2025年08月05日

これまで何度か日本郵政について私見を述べてきました。その後国土交通省では6月に自動車貨物運送事業許可取り消しという非常に重い処分を下し、同社保有の2,500輌あまりについて営業運送行為ができなくなりました。編集人が知っている中でも大手事業者の事業許可取り消しは記憶が無く、直近では西日本にグループ本社のある中堅特積協力運送事業者依頼の不祥事かと思われます。ただ同社では子会社(日本郵便輸送(旧逓信))や協力事業者を活用する方向のようで、最終配送を担うオートバイや届け出制の軽トラックなどは同法の対象外ではないものの、いずれ監査対象となると考えられます。

またここ2年程連続して郵便料金が値上げされており、最終的に消費者にコスト転嫁される可能性は残っています。元小泉首相が推進した郵政民営化の中でも最も国民の生活に身近な郵便事業ですから必要な値上げは容認することはできますが、不祥事の後始末まで税金投入など国民負担となれば大きな議論が巻き起こることは必至でしょう。もう1つは自動車貨物運送事業に於ける累積違反点数が1運輸局管内で許可取り消し基準を超えていた事実は運送業界関係者からすれば全く持って容認できないレベルであり、いくら過去に五現業であった郵政とは言え決して許されるような経営ではないと言うことです。

さらに時期を同じくしてトラック運送事業許可を5年毎の更新とする関連法案が可決されたことで輸送力を増強することになりました。その中身には編集人がかねてより指摘していた届け出運賃は強制力・罰則がないことから廃止され、代わりに適正原価の告示することで安全対策などを強化するとされています。これまでの運送事業許可時に於いても「事業開始に要する資金の調達方法」にて実質的な原価計算書の添付が義務付けられていますが、実際には形骸化していることを国土交通省が認めたとも受け取れます。2030年には多くの生活物資が運べなくなるとされていますから、今回の不祥事を教訓にしてほしいと感じます。