オフィス鴻

消費者購買行動の変化(食料品)

2023年08月14日

一般的に、POSデータ(販売時点情報管理)を活用した販売戦略(マーケティング)が小売業と製造業間で共有して売り場作りをしますが、食品国内市場の電子商取引(EC)額は2兆円以上との試算もあり、従来とは異なるマーケティング手法が拡がってきています。例えば、最近の円安・原材料高等により、メーカーが定番商品と高収益商品への絞り込み戦略を進めたところ、生活必需品では心理的安心感の強い定番商品の購買頻度が高くなる傾向があったと言います。メーカー側の視点に立てば、内容量削減などのステルスコスト削減策によって消費者の購買離れが起きるより、値上浸透による粗利率向上と利益額増加を見越しているのだと思います。

また、物流費高騰が値上げの一因であると言われますが、あくまでも物流事業者(特に国内運送・倉庫)が適正料金を収受していることが前提での話です。最小出荷単位(SKU)、納品率99.999%以上を小売業が求める現状では、中間流通に於ける納品形態の簡素化が物流コスト見直しの大きなポイントだと考えています。特に商品アイテム数の絞り込みと納品形態の見直しは、消費者や物流業者にも大きなプラスバイアスとして働くでしょう。

それ以外でも、賞味期限3ヶ月ルール(賞味期限3か月未満の商品を返品する日本特有の商慣習)の見直しは、SDG’sの浸透で商品廃棄ロス削減(消費期限はもっと長い)に大いに貢献できますし、返品物流費(通常納品コストに加えて、4倍のコストがかかる)や商品廃棄費用(産業廃棄物扱い)の削減にも寄与します。企業努力だけでは価格維持を図れないところまで日本経済のデフレ傾向(結局立場の弱いところにしわ寄せがくる)が続いていたことを鑑みれば、消費者にとって商品選択肢の多様化に影響を及ぼしたとしても、許容するべき範囲内のことかと思います。