点呼不正問題
2025年07月24日
点呼とは貨物自動車運送事業輸送安全規則に定められた運転者と公共の安全を確保するために必要な確認業務のことを指します。トラック運送事業に限らず旅客運送事業(バス・タクシー)にも適用される法律であり、資格を有し選任された運行管理者・運行管理補助者以外の点呼は認められていません。もし法律に違反して「点呼未実施」と判断されれば、行政処分等の対象になります。その他にも記録の保存や改善基準告示順守などが求められますが、実際に運行管理者に対する責任の重さと処遇(手当等)がアンバランスであることが違反行為を助長しているとの指摘もあります。
そのように運送事業にとっての点呼は経営にとって非常に重要なものであるにも関わらず、日本郵便は約7割(2,000事業所)で点呼業務の不備、すなわち違反があったことを発表しました。この件数を見ただけでも虚偽報告が全国で常態化していたことを裏付けるものであり、累積違反点数を鑑みれば過去の運送事業者の例から事業停止や事業許可の取り消し処分がくだされても致し方ないレベルの管理状態です。特に日本郵政の社内調査で飲酒運転事案が複数あったことも報告されていたことは、運送事業者として根幹の部分が全く機能していなかったことを示唆しているでしょう。
日本郵政グループではこれまでもかんぽ生命の顧客情報不正利用問題などが発生しており、今回の点呼巣性問題でも「管理者などが十分でなく目が届いていなかった」「本社が書面を鵜呑みにしてきた結果として、現場で虚偽報告が常態化していた」という千田社長の説明は問題の根深さと責任感の欠如を表しているように感じます。また一部では過剰な業務負担により従業員が連鎖退職していること、その影響で残った従業員に更に負担を強いていることなどが指摘されています。経営陣を刷新することは決まりましたが、まずは現場に足を運ぶことが信頼回復の第一歩だと思われます。