オフィス鴻

物流パレットの需要減少

2025年10月10日

物流パレット規格統一(2024年9月21日付;本ブログ)では、物流業界をはじめとした業界間連携がパレット普及に非常に意味のあることだと私見を述べました。しかし現在の日本では当初計画よりも普及率向上が低いことが日本パレット協会の集計によって明らかになっています。当初見込みには年間総労働時間が最大3,300時間となったことで、削減できた作業時間分に相当する賃上げ(運送料金値上げ・積載効率等)が行われることが含まれていました。しかし物流2024年問題は物価高等に起因する輸送量の停滞が影響していたことで、進まなかったように思われます。

その状況を別角度で見ると、国土交通省の運転手拘束時間調査ではパレット使用による作業効率化を証明できるデータはないと発表されています。実際にこれまで荷扱いが手作業であった企業がレンタルパレットを使うことになれば、在庫管理・商品梱包方法の変更・コスト上昇など新たなノウハウを構築していく必要があるのです。現在は法律の猶予期間であってもどこかのタイミングで殆どの企業が物流統括責任者(CLO)を選任する必要があるので、今後はパレット使用企業が拡がっていくものと感じます。ただ変更には多くの時間を要することになりますから、まだまだ過渡期だと考えています。

編集人が実際に某有名食品メーカーのコンサルティングを行った際には、パレット化に向けて商品作りの段階から携わった経験があります。もう少し具体的に述べると、選択したパレットサイズに合わせて商品梱包を考えた上で製造ラインまでも変更することとなり、さらに自動積み付け機も導入しました。また商流ではそのパレットに積みつけられた商品(梱包)数に合わせた受注体制へと変更するなど、当該企業戦略の一部にも影響を与えたのでした。結果的に商品1つあたりの物流コストは明確に下がり、その削減分の一部を物流事業者にも還元することが出来たのです。