物流パレット規格統一
2024年09月21日
国土交通省が、やっと物流業界でのパレット統一化に向けた具体策を発表しました。 同HPによればパレット標準化の対象範囲は「国内物流/工場等の施設~卸売業等の物流施設等」とあり、明確に中間流通に於けるBtoBを意識したことが判ります。また、推奨規格を平面サイズ1,100mm×1,100mm(T-11型)、厚さ15cm、最大積載量1,000kgのプラスティック製としたことは、現在多くの物流関連事業者が使用して普及しているものを2030年度には50%以上となるように働きかけた内容です。単純に考えると、一般的な大型トラック(最大積載量15t)では15枚(最大平面積みで16枚)に相当するため、約3割の積み替え作業負担・時間の軽減により年間2.3億時間削減できる試算ですが、肝心の新たな運送可能物量がどの程度増やせるかどうかは今後の施策次第でしょう。
また、レンタルパレットの宿命的欠点でもある紛失・汚破損・納品先での管理では、タグ・バーコード等を活用した案や共同回収も検討されていると言います。特に木製パレットは1枚当たり約30kg(雨の水分を含むと50kg近くになります)、破損等でドライバーの手に破材が刺さりケガをすることがありますが、今回の発表では容認される見込みだそうです。また、修理代(責任所在が不明)・未改修時の料金発生・紛失分の買い取り保証(1枚4千円程)などの経費が嵩み、現在は日用品・加工食品が主に統一規格サイズ(T-11)を使用していますが、その背景には商品箱の形状がパレットサイズに適合するよう製品外装を開発してきた側面があることも事実です。
年間総労働時間が最大3,300時間となった現在、削減できた時間分に相当する賃上げ策(運送料金値上げ・積載効率等)と同期していなければドライバーの所得向上には結び付きません。また、倉庫敷地内に新たにパレットプール施設を設けることが出来るのは一定規模以上の事業者に限られます。まだまだ課題は山積しています。