物流業界変革の波
2024年04月14日
最新のマンションや戸建て住宅の多くには、宅配ボックスが設置されています。また、不在再配達が大きな問題と言われてきた宅配業界でもECサイトでも配達方法の選択(時間指定、置き配)が出来るようになりましたが、相変わらず人手不足や配達遅延が解消されたという話は聞きません。国土交通省の調査では約40%の方が盗難やいたずらを心配しながらも、置き配を利用した経験があるそうで、政府は「置き配ポイント」導入により更なる置き配選択を増やす検討をしているようです。しかし、置き配にポイントを付与することで本当に再配達が減るのか懐疑的な関係者もおり、そもそも送料無料・再配達無料という仕組み自体がいびつな状態ですから、再配達費用は別途配送料に乗せる(コスト・オン)べきとの指摘も上がっているようです。ふるさと納税で起きている地方税収への貢献が少ない矛盾と似ていますよね。
似たようなものに海外での「キープ・イット」という返品不要の仕組みがあります。アメリカの販売事業者は6割以上が日用品企業を中心に導入していて、返品は一般的な物流費の4倍のコストが掛かることを考えれば一定の経済合理性はあると思います。もちろん高額品や制度を悪用する消費者への対応策が必要ですが、荷主側の物流戦略の1つとして日本でも普及していく可能性は高いでしょう。特にBtoC型や3PL委受託形態では、輸送能力・人手不足以上に紙ベースでの作業指示が中心である返品作業自体がなくなることで新たな作業効率化やコスト削減が実現しますから、荷主へのプレゼン材料に加えれば効果的かと思います。
そのほか、物流業界に関連するものに過積載による3倍以上の道路損傷、車体不安定によるタイヤ脱落事故、交通事故被害者への補償制度、自賠責保険(特別会計)の一般会計への繰り入れ、石油(ガソリン・経由)引取税への消費税二重課税、高年式車両への自動車税増税、テンポラリー(臨時)作業員人件費高騰、運転免許制度の度重なる改定(中型、原付など)、消費地から少し離れた自治体での条例による物流倉庫の誘致合戦など課題は山積しています。