オフィス鴻

特定利用空港

2025年07月23日

内閣官房が令和6年12月20日にプレスリリースした「総合的な防衛体制の強化に資する公共インフラ整備」によれば、日本は戦後最も厳しい安全保障環境の下に置かれており安全保障環境を踏まえた対応を実効的に行うために必要に応じて自衛隊・海上保安庁が民間の空港・港湾を円滑に利用できるようインフラ管理者(地方共団体等)との間で「円滑な利用に関する枠組み」を設けるとあります。その中で「特定利用空港・港湾」とは、それらの空港・港湾について原則民生利用を主としつつも、自衛隊・海上保安庁の航空機・船舶の円滑な利用にも資するような必要な整備や既存事業の促進を図るといしています。

具体的には円滑な自衛隊の人員・物資輸送等に資するための「特定利用空港・港湾」と自衛隊の駐屯地等とのアクセスの向上に向けた道路ネットワークの整備などの取り組みを指すようです。実際に台湾有事やロシア・北朝鮮との紛争を想定していると明記はされていませんが、国防機密ですから外交政策の一環とも言えるでしょう。既に国内には特定利用空港が8ヶ所(那覇・鹿児島・熊本・長崎・宮崎・北九州・福江・徳之島)が指定されており、更に大分空港が指定されています。その他にも鹿児島県の馬毛島に航空自衛隊基地および種子島に施設整備が進められているようですから、この拠点立地を見る限りは九州から沖縄・南西諸島のラインが重要視されていることが判ります。

また直接は関係ありませんが、高知空港にアメリカ海兵隊のF35ステルス戦闘機が緊急着陸してから整備のため長期間駐機していたり、青森三沢基地(青森空港)にB1戦略爆撃機が緊急着陸するなどの事態も発生しています。先述の「特定利用空港・港湾」については、一般論として国民保護・災害派遣の観点からは、より大型の航空機・船舶が利用できるようになることで住民避難や救援部隊等の派遣がより効率的に実施できるようになるとされています。当然騒音問題なども懸念されますが、まずは国民の生命と財産を守ることを主眼に進めて欲しいと願う編集人です。