空港でのシステム障害
2024年09月25日
今年7月にクラウドストライク社製のセキュリティ製品の更新中に、世界各地の航空会社を中心に大きなシステム障害が発生しました。修正ソフトの提供で全面復旧までに数日を要したものの、いつ新たな障害が発生してもおかしくないほどIT技術に依存する社会になってきたことを世に知らしめた出来事だと感じます。時を同じくして、原因は異なるそうですが、日本マクドナルドでも殆どの店舗で受注・会計システム障害が起き、営業を中止する店舗がでていました。また、日本では2002年に発足したみずほ銀行(第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の合併・会社分割等)が度々システム障害を発生させ、金融庁から行政処分(業務改善命令)が課され頭取を含む経営幹部の引責辞任が続く事態となったことは記憶に新しいところです。
さて、先述の航空会社では多数の便が運航できなくなる事態となり、多くの航空機利用者に影響が出ました。日本では株式市場では空運事業として物流事業に区分されることが多いのですが、安全性・利便性・収益性などを支えるシステムが多数採用されています。公共的性格の強い物流事業に共通するのは旅客機・船舶・トラック・タクシー・鉄道といった輸送手段は固定費比率が高いのですが、特に航空業界では座席やスペースを提供するためのBEP(損益分岐点)管理のために予約管理システムが重要な役割を果たしていることです。具体的には早割・割り当てとよばれるような需給関係を見越した価格設定(料金体系)が複雑化していて、オーバーブッキング(用意できる座席数以上に、キャンセルを見込んで販売すること)により別便に振り替えることも実際に起きています。
多角的に見れば、整備時期や飛行ルート管理にもAIが活用されることで省人化・燃料使用削減が進んでいることは評価できますが、トラブルが起きれば業務系プロセスを理解している人材の減少が人手では対応(マニュアルの存在)出来ないほどにIT系障害が企業経営に与える影響が深刻化しているとも言えます。