オフィス鴻

経済産業省物流企画室

2025年01月14日

経済産業省物流企画室は、「物流2024年問題」対策として物流総合効率化法に基づき一定規模以上の荷主企業に対して「物流統括管理者(Chief Logistics Officer:CLO)」の設置を義務付けました。対象企業は、2026年度までに社内でCLO選任を行うことになりますが、これまで国土交通省が進めてきた諸施策に比べてその背景には製造業を主体としたサプライチェーン全体での日本の立ち位置を危惧する内容が多く含まれています。特に今回の改正法では「物流統括管理者」を役員クラスで各社の物流全体を統括できる方と明確に定義している点です。これまで、物流と言えば物流部長を軸とした商品・製品の配荷とコスト・品質管理が主とされていました。

しかし、製造~商流を含めた全体を俯瞰した中間流通領域での最適化を実現するには、「買い手」の理論(要望)が優先されてきたことは事実です。つまり、販売物流だけに留まらない経営者視点があれば、現行商慣習の不合理性について非常に多くの課題があることは、すでに30年以上前から識者の間では認識されていました。しかし、「最も合理的な事業者が中間流通領域を担う」というサプライチェーンマネジメントの最大のポイントが各社の思惑で様々な弊害を生んだ形で運用されていたことが、日本独自の物流形態を形作り、グローバルスタンダードに迎合できない現在の日本の物流を端的に表しているとも言えます。さらに、各社内での部署間の力学がこれに輪を掛けた形で外部委託先を含めた「無駄な作業・行程を増やした」とも編集人は考えています。

さらに調達物流と販売物流の両方を俯瞰して見るためには、経営者に対して様々な視点からアイデア・意見を率直に伝えることができる実力のある人材が必要なことは言うまでもありません。また、投資・取引先との折衝など、単なる自社の事業領域に留まらない点にも知見が無ければ、これまで同様に物流責任者として位置付けられるだけで、本来のCLO職務を全うすることは困難だと感じます。