置き配貨物の盗難
2025年10月09日
運送2024年問題が大きく報道されてから日が経ち、物価高・消費減少による物量減少が顕著となりつつあります。特に物量が右肩あたりで増加しているBtoC分野においては、配達員の再配達を含む業務負荷軽減策の1つとして置き配が推奨されていたのを覚えています。日本は海外諸国に比べて比較的治安が良いとされていますが、自宅前に配達荷物を置くと言う行為は非常に無防備だと感じたものです。実際に宅配ボックスは少しずつ普及していきましたが、その数は住民数に対して慢性的に不足気味でした。しかし徐々に置き配が浸透していくことになるのですが、同時に様々な課題も露呈していきます。
宅配ボックスでも無施錠であれば置き配と同じように常に盗難のリスクが付き纏います。運送契約上、盗難・破損時に誰が保証するのかと言うのは運送約款に定められているケースが殆どです。そのため通常は配送伝票にサイン(印鑑)するか配達完了が確認された時点から、盗難等の責任は原則消費者に移管されるのです。例外的に運送会社の配達記録に瑕疵があった場合や、警察で盗難届が受理された場合に補償交渉を行うことが可能なのですが、実際に編集人の体験では再送手続きや返金処理に非常に時間がかかる企業もあり、穿った見方をすればカスタマーサービス機能を減らしているようにも見えました。
そのように考えると消費者として盗難防衛策を鑑みた場合、宅配ボックスの改修・監視カメラの設置・対面やロッカー受取などが挙げられます。つまり本当に置き配が唯一の有効策なのであれば、通販事業社業界等も一緒になって具体的な解決策を提示したり支援したりするべきでしょう。さらに非常に大切だと思うことは、配達員教育と処遇の向上、即日配達に対する適正料金設定、再配達不在時の消費者へのペナルティ付与などの施策(ルール化)です。一見消費者の利便性を犠牲にするようにも思えますが、その根底には継続性という社会インフラを構築に不可欠だと編集人は考えているのです。