オフィス鴻

買収プレミアムの高騰

2024年07月10日

C&FのTOBはAZ丸和が提示した3,000円を大きく上回る約6,000円のプレミアムを提示したことでSGHD傘下に入ることが事実上決定しました。証券アナリスト等からはPBR等の指標から、相乗効果を見込みずらい高値掴みであるとの指摘も多く、実際に佐川HDの株価は下落傾向にあります。編集人もDD(デュデリジェンス)ではそれだけのプレミアム価値を見出せないように思いますが、全国の拠点(主に冷蔵・冷凍倉庫)を佐川グループの中に一気に取り込めることには、特積での弱点(冷凍・冷凍設備不足)を補う点と施設簿価による含み益があることが想像でき、大きなメリットがあると感じます。

同じような事例として、アルパイン(旧アルプス電気)の子会社であるアルプス物流の売却(資本関係解消)では15社が入札したとされていますが、ロジスティード(旧日立物流)が1株5,700円(発表前は2,000円前後)のプレミアム価格で買収することが決定したとの報道がありました。これだけ高値で入札した背景には、株主であるファンド(KKR)の事業戦略(不動産ビジネス)が物流事業収益を上回る価値があると判断したものと思われます。なお、一部報道にあるように最終選考にヤマト運輸が含まれていたことを考えれば、特別積合業界全体の収益性から見てビジネスモデル転換期に差し掛かっているとも考えられます。

なお、大手製造業の物流子会社は既に他社傘下に入っている企業も多く、今後優良案件は草刈り場状態からM&A価格競争に移るであろうと考えられます。特にAmazon社が単なるBtoCプラットフォーム型ビジネスにおいて、書店・薬局を駆逐し始めていることを考えれば、物流事業領域への投資を大きく増やしていることからも、物流事業で巨大な勢力圏を構築する戦略をとることは合理的な選択であるようにも思います。また、公共性の観点から規制の厳しい鉄道事業者でも、含み益の大きい資産活用とネットワーク相乗効果などから、阪急阪神のようなケースも出てくる可能性があるでしょう。