オフィス鴻

軽貨物事業者の倒産

2024年01月09日

帝国データバンクの調査では軽貨物運送事業者の倒産や業績悪化(事業者全体の7割)が急増しているそうです。この傾向は事業者(黒枠の営業ナンバー)が調査対象であり、個人事業主などの廃業は含まれていない数字です。宅配クライシスが叫ばれて以降、このラストワンマイル事業ではヤマト運輸・佐川急便・日本郵政の第一勢力が大幅値上げを実施しましたが、参入が容易で資金力に乏しく値上げできない、多重下請け構造等から収益悪化の新規事業者も多く、実質配達費無料とされるアマゾンやEC、ネットスーパーなどが加わり、更に円安による燃料費等のコスト増やインボイス制度開始が倒産に追い打ちをかけているのが現状です。

また、コロナ禍により中古車ニーズが高まりバブル気味の業績拡大が続いた中古車業界でも、オークションで高値で仕入れした中古車の販売が減少して運転資金確保のために止む無く赤字販売する業者が増加しているだけでなく、ビッグモーター社の不正問題など業界全体の健全性が消費者から不安視され、部品(半導体)供給が正常化して通常納期に戻った信頼性の高いメーカー系の新車販売店に顧客が戻っていくという非常に厳しい経営環境にあると言います。特に軽自動車の新車価格は以前のファミリーカーと大きく変わらない価格帯になっており、最近は顧客と前金で購入契約を結んでおきながら仕入れをしない(できない)業者が、メーカーに発注せず詐欺行為同然で摘発される例も報道されるようになりました。

今後は宅配クライシスに「運送2024年問題」が加わるため、軽貨物ドライバーや個人事業主(委託契約)が容易に集められるようなプラス要因はほとんど見当たらず、最終的には消費者が思っている以上に運送料金は上昇していくと予測しています。仮に個人事業主が撤退したくても中古車価格の下落で残債清算ができない、社会保険料・税金等が支払えない(未納)など、生活に直結している運送インフラがいつ破綻したとしても何も不思議なことではないと感じています。