オフィス鴻

運送事業の原価割れ

2025年09月14日

超党派の国会議員がトラック運送事業について、継続して原価割れ輸送をしていることが判明した事業者について罰則規定を適用する法案提出を進めています。具体的には運送事業免許を5年の後進性にすることが軸で、運転手の処遇改善が軸になるとされています。貨物自動車運送事業(トラック輸送)を開業するには関連法令の改定は考慮する必要がありますが、その際には必ず原価計算表と運賃表を作成して毎年輸送実績報告書と経営に関する資料を提出する必要があります。しかしこれらについては提出すれば特段の罰則規定は無く、トラック運送業界がいつまでたっても自立できない原因の1つだと考えています。

運ぶ荷物がなければ原価割れでも取り合いをする運送事業者も多く、結果的に運転手の処遇向上ができずにいる企業も少なくありません。この更新制も実効性を伴うのならば編集人は賛成の立場ですが、この点がこれまで数十年にわたって殆ど改善されていない事実を鑑みると国会議員と国土交通省の本気度が試されているような気がします。その他にも白トラ(営業許可を受けていないトラックでの輸送)行為に対する荷主への是正指導を行うこと、下請事業者への再委託行為の制限(2回以内)を行い違反者した荷主には是正指導を行うことだけでも一歩進展なのかも知れません。

しかし何か論点がずれているように感じるのは編集人だけでは無いようです。編集人が経営顧問を務めている物流企業では元請輸送業務が多いのですが、大手物流企業に対抗するために地域ベースでの貨物(輸送業務)の融通が行われています。実際に消費者が必要としている商品を届けるトラック輸送ができなくなると言われた物流2024年問題ではその後5%程度の値上が実現しましたが、先述の利用運送業務(再委託)を営むプラットフォーム事業者による手数料(10%程度)が差し引かれた実質運賃は下がっていると推測されています。その点では一定の運送事業者淘汰は避けられない現実だと考えています。