運送事業健全化(2)
2023年11月25日
2023年6月、「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議(第2回)」が首相官邸で開催され、政策議論が行われました。来年1月の通常国会での法制化や枠組みの整備などが提案される予定だそうです。ちなみに、国内物流(重量ベース)の90%を占めるトラック輸送の2024年度における施策効果目標は、「荷待ち時間削減(2~3時間)」「積載効率向上(50%)」「再配達削減(6%)」となっていますが、既に2023年も折り返し時点にあり、現実性に対しては懐疑的です。
内容はこれまで度々の議論や問題点が指摘されてきたもので、若干新たな視点(政策)が盛り込まれています。例えば、「商慣行の見直し」では荷主・元請けの監視強化策(仮称トラックGメン)、「物流の効率化」では高速道路での速度制限規制緩和策、「消費者行動」では再配達の有料化、送料無料表示の見直し(消費者庁)などが挙げられています。ただ、いずれも監督官庁の強制力が発揮されなければ、一部で実施されても全体として掛け声倒れになる可能性が高いと感じます。
編集人は今後の成り行きに注目していますが、「働き方改革関連法案の施行」が先行(トラック業界は猶予期間を設定)したこと、公正取引委員会(下請法)による重点立入業種に道路貨物運送業の選定が遅すぎることなど、現場感覚との大きな隔たりを感じます。また、労働時間短縮効果と相反する収受料金値上げ分についても、ドライバー職の所得減少補填に充てられるのかは各社の裁量範囲内です。特に中小運送事業者が労働基準監督署の臨検・是正指導などをクリアしていけるのか不安を感じますし、荷主側の判断でかつて横行していた非営業用車両(白ナンバー)への輸送依頼や、名義貸し行為が増えないのか心配なところです。