運送業務の非常識
2025年01月12日
オフィス家具メーカであるイトーキ社、管工資材メーカーである橋本総業その他荷主に対して公正取引委員会は昨年12月に独占禁止法違反(不公正な取引方法)があったとして社名公表に踏み切りました。運送事業者にとっては時間外料金や附帯業務に望まざるものの、取引継続を鑑みて契約書に不明確な取引条件として記載された無償附帯業務が優越的地位の乱用にあたると判断したものです。イトーキ社は行政指導を思いく受け止め、これまでの未払い賃金を運送業者側に支払うことで警告処分という比較的軽い処分となりました。実際、複数の運送事業者は同社との取引関係が悪化することを恐れて強い交渉が出来なかったと述べており、ほんの少しですが適切な運賃収受が進んだと編集人は考えています。
根拠となる法律は「物流特殊指定」で禁止されている、不当な経済上の利益の提供要請に該当すると考えられますが、未払運賃が支払われた後に運送事業者がドライバーに対して労働時間を把握することは容易ではありません。また、一般貨物自動車運送法や労働基準法に抵触するような勤務実績の改ざんなどがあれば、運送事業者側が処分を受けることになります。最近の傾向として「トラックGメン」の活動の成果とも言える未払い附帯作業料金(特に労働時間)の摘発が多いと感じますが、その前に運送事業者側が荷主の作成した契約書を使うような管理水準では未払いが発生していても不思議ではありません。その視点で鑑みると、トラック乗務員の給与構成(殆どが労働時間で決まる)を成果配分・貢献度で決める方式が導入されていなければ、モグラたたき状態だと思っています。おそらく。イトーキ社等は改めて現在の協力運送事業者を含め、新契約体系への移行に向けてコンペ等を実施することでしょう。
つまり、運送事業者の経営自体が脆弱であれば一時的に契約内容が変更されてもこれ以上は附帯料金収受の突破口とはならず、トータル物流費は上げない形で必ず安い運送事業者が出てくると考えています。