配車担当者の役割・責任(2)
2023年03月19日
つぎに「配車担当者の果たすべき役割と、従業員の雇用と生活を守る責任」について、経営層と配車担当それぞれの立場から私見を述べたいと思います。
まず、中小運送事業者は創業者一族での経営が多く、社長自らが配車や運転業務も担当することがあります。また、本来の役割である営業拡大・管理部門統括を行うには、荷主要望を理解できる配車担当者の育成・職務権限委譲は避けて通れない課題です。特に配車担当は、妥当な売上/利益目標を共有した上でコンプライアンス(労務管理・運送法令遵守など)を理解できるレベル感(能力)が必要で、現場の実情に応じた違法行為(強引な配車組み)リスクをある程度までなら回避できます。
一方、大手・準大手運送会社の場合には、基本的に事業部門責任者(執行役員クラス)が事業所責任者に権限委譲します。ただ、実際にトラックに乗れない管理者(免許所持や単なる回送)に配車を任せることは、倉庫管理を含めた3PL型委託などでは、より物流全体を俯瞰したトラブルへの迅速対応が遅れるリスクが高く、慎重な選任が重要です。
もし、特定の貨物配送条件を満たせる製造業や小売業にAIベースの配車ソフトが導入された場合でも、運送事業者の役割は刻々と変化する道路混雑や納品状況への対応、配車予定の商品出荷時間の遅延への対応など、IT・AI技術の進歩をもってしても、最終的には配車担当者の経験値による修正が必要とされているのが現状です。また、ある日突然荷主から過去の商品数誤差や未着を指摘される、事故処理上の主張に於いても、運行計画書や受領書の適切な管理など損害賠償請求等への備えをしておくべきでしょう。