鉄道事業者のビジネス
2025年04月12日
10年ほど前に首都圏の私鉄で電車の運転職をしているかたから聞いた話ですが、最近はかつては憧れの職業の1つであった電車の運転手(数年間の駅勤務・車掌等の経験を積んで動力車操縦者免許の国家資格試験に合格する)を目指す若手職員が減少しているそうです。実際、駅勤務などでは泥酔した乗客に暴力を振るわれたり、理不尽なクレームも多いと言って敬遠する方も多いそうで、コロナ禍で通勤定期券収入が大幅に落ち込んだことから経営の多角化を更に進める鉄道事業者も多く見かけるようになりました。最近はリモート勤務を減らし出社を増やす企業も増えているそうですが、動力車操縦者の不足からかなりの減便を行っているように思います。
また、最近は鉄道おたくのような就職希望者(新卒)の採用は少なく、駅構内の商業施設やホテルなどに配属されることも多いと聞きます。単純に考えれば鉄道おたくを採用して人員不足を補うことができそうですが、実際には減便・1人乗務(車掌無し)などが行われており、将来的にはJR山手線のように無人運転を検討する鉄道事業者も多くなると考えられます。そのため、将来の固定人件費負担を軽くするため設備投資に重点をおいた一例として、JRの「みどりの窓口」がリモートに変更されたことが挙げられます。編集人も実際に妻と使ってみましたが、オペレーターが聞き違えたのか、3回も行き先や障害者割引などやり直したことがあります。オペレーションセンターがどこにあるのかは判りませんが、利用者・担当者双方の苦労が眼に浮かびます。過度な効率化はサービス低下を招かないかと心配しています。
もう1点、最近は工場跡地等に大型マンション(いわゆるタワーマンション)が建ち、それまでとは異なる住民が元貨物線などに設置された駅へと集中する傾向があると言います、首都圏では多摩川の氾濫で大きな被害を出した武蔵小杉駅などがその典型でしょう。京葉線の快速停車駅変更も通勤圏にある行政・住民の反対で撤回されました。大きな時代の変革期にあるように思います。